コーナー8「賞タイムへようこそ。」

賞タイムへようこそ。

「文学賞」と聞いて、まず思い浮かぶ賞といえば、芥川賞、直木賞、本屋大賞・・・でしょうか?実はあまり知られていないのですが、
日本にはこの3賞以外に200以上の文学賞があるといわれています。今回は、多彩な文学賞受賞作品を過去数年にさかのぼって集めました。
今年大活躍した、あのメジャーリーガーにあやかって「賞タイム」と名付けてご紹介します。傑作の数々をどうぞお楽しみ下さい。


Ⅰ. 文学賞・ビッグ3 

毎年、受賞の決定がニュースで大きく取り上げられる文学賞といえば、「直木賞」、「芥川賞」、「本屋大賞」の3つの賞です。
今回は”ビッグ3″と題して、近年の作品を集めてみました。

Ⅱ. 文豪×文学賞 

毎年話題となる”文学賞・ビッグ3″に比べると知名度は低いものの、日本の文壇にはまだまだ沢山の文学賞があります。
ここでは、文豪の名を冠した文学賞を過去5年に遡って集めました。文豪についても少しだけご紹介します。

Ⅲ. 文学賞を楽しむ。

文学賞の数は、10年前と比べて1割以上増えたといわれています。背景にあるのは、本の売上が下がっていること。
文学賞で話題を集め、本に興味を持つ人を増やす……
そんな戦略もあるそうですが、面白い本と出会うきっかけとして「文学賞」を楽しんでみませんか?



Ⅰ.文学賞・ビッグ3 

 直木賞 


正式名称は「直木三十五賞」。文藝春秋の創業者・菊池寛が、友人である直木三十五の名を記念し、芥川賞と同時に昭和10年に制定。
新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)の中から、最も優秀な作品に贈られる賞。

受賞年
受賞作 受賞者
2017上
 月の満ち欠け  佐藤 正午
2017下
 銀河鉄道の父  門井 慶喜
2018上
 ファーストラヴ  島本 理生
2018下
 宝島  真藤 順丈
2019上
 渦 妹背山婦女庭訓魂結び  大島 真寿美
2019下
 熱源  川越 宗一
2020上
 少年と犬  馳 星周
2020下
 心淋し川  西條 奈加
2021上
 星落ちて、なお  澤田 瞳子
 テスカトリポカ  佐藤 究

 芥川賞 


正式名称は「芥川龍之介賞」。文藝春秋の創業者・菊池寛が、友人である芥川龍之介の名を記念し、直木賞と同時に昭和10年に制定。
雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品の中から、最も優秀な作品に贈られる賞。

受賞年
受賞作 受賞者
2017上
 影裏  沼田 真佑
2017下
 おらおらでひとりいぐも  若竹 千佐子
 百年泥  石井 遊佳
2018上
 送り火  高橋 弘希
2018下
 1R1分34秒  町屋 良平
 ニムロッド  上田 岳弘
2019上
 むらさきのスカートの女  今村 夏
2019下
 背高泡立草  古川 真人
2020上
 破局  遠野 遥
 首里の馬  高山 羽根子
2020下
 推し、燃ゆ  宇佐見 りん
2021上
 彼岸花が咲く島  李 琴峰
 貝に続く場所にて  石沢 麻依

 本屋大賞 


正式名称は「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 本屋大賞」。書店員の投票のみで決定する賞で、受賞作がベストセラーとなることも多い。

2019
1位 『そして、バトンは渡された』 瀬尾 まいこ
2位 『ひと』 小野寺 史宜
3位 『ベルリンは晴れているか』 深緑 野分
翻訳 (未所蔵)『カササギ殺人事件』 アンソニー・ホロヴィッツ
発掘 『サスツルギの亡霊』 神山 裕右
NF 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブレイディみかこ
2020
1位 『流浪の月』 凪良 ゆう
2位 『ライオンのおやつ』 小川 糸
3位 『線は、僕を描く』 砥上 裕將
翻訳 (未所蔵)『アーモンド』 ソン・ウォンピョン
発掘 (未所蔵)『無理難題が多すぎる』 土屋 賢二
NF 『エンド・オブ・ライフ』 佐々 涼子
2021
1位 『52ヘルツのクジラたち』 町田 そのこ
2位 『お探し物は図書室まで』 青山 美智子
3位 『犬がいた季節』 伊吹 有喜
翻訳 『ザリガニの鳴くところ』 ディーリア・オーエンズ
発掘 『「ない仕事」の作り方』 みうら じゅん
NF (未所蔵)『海をあげる』 上間 陽子

Ⅱ.文豪×文学賞

 吉川英治文学賞 


『宮本武蔵』、『新・平家物語』などの大衆小説で「国民文学作家」と親しまれた。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
(未所蔵)大雪物語 藤田 宜永
2018
守教( 帚木蓬生
2019
 鏡の背面  篠田 節子
2020
該当作なし  - 
2021
 風よあらしよ  村山 由佳

 柴田錬三郎賞 


『眠狂四郎無頼控』などが人気を博し、剣豪小説の一大ブームを巻き起こした。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 日蝕えつきる  花村 萬月
2018
 雪の階  奥泉 光
2019
 彼女は頭が悪いから  姫野 カオルコ
2020
 逆ソクラテス  伊坂 幸太郎
2021
 類  朝井 まかて
 正欲  朝井 リョウ

 三島由紀夫賞 


『仮面の告白』、『金閣寺』、『潮騒』などで知られる戦後日本を代表する作家。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 カブールの園  宮内 悠介
2018
 無限の玄  古谷田 奈月
2019
 いかれころ  三国 美千子
2020
 かか  宇佐見 りん
2021
 旅する練習  乗代 雄介

 山本周五郎文学賞 


『樅ノ木は残った』、『さぶ』など、人情味あふれる時代小説の名手として人気を博す。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 明るい夜に出かけて  佐藤 多佳子
2018
(未所蔵)ゲームの王国 小川 哲
2019
 平場の月  朝倉 かすみ
2020
 ザ・ロイヤルファミリー  早見 和真
2021
 テスカトリポカ  佐藤 究

 新田次郎文学賞 


『八甲田山死の彷徨』、『孤高の人』など、人間の本質を掘り下げた作品で知られる。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 リーチ先生  原田 マハ
2018
 葵の残葉  奥山 景布子
2019
 月まで三キロ  伊与原 新
2020
 土に贖う  早見 和真
2021
 商う狼 江戸商人杉本茂十郎  永井 紗耶子

 大宅壮一ノンフィクション賞 


時代の風潮を裁断する評論で長くマスコミ界で活躍したジャーナリスト。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 小倉昌男 祈りと経営  森 健
2018
 悪だくみ  森 功
2019
 選べなかった命  河合 香織
(未所蔵)八九六四 安田 峰俊
2020
 チョンキンマンションのボスは知っている  小川 さやか
2021
 女帝小池百合子  石井 妙子

吉川英治文学新人賞、谷崎潤一郎賞、司馬遼太郎賞、大佛次郎賞、開高健ノンフィクション賞も展示中。


Ⅲ.文学賞を楽しむ。

 高校生直木賞 


“若者目線” で大人も楽しむ。
“読書教育”の一環として、フランスで行われている「高校生ゴンクール賞」の日本版を目指し、2014年に創設。全国の高校生たちが議論を戦わせ、直近一年間の直木賞候補作から受賞作を決定する。近年、SNSでも話題となる。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 また、桜の国で  須賀 しのぶ
2018
 くちなし  彩瀬 まる
2019
 熱帯  森見 登美彦
2020
 渦 妹背山婦女庭訓魂結び  大島 真寿美
2021
 雲を紡ぐ  伊吹 有喜
 オルタネート  加藤 シゲアキ

 泉鏡花文学賞 


“ご当地文学賞” を楽しむ。
泉鏡花生誕100周年を記念し、1973年に出身地の金沢市で制定。泉鏡花の文学世界に通ずるロマンの薫り高い作品を選定。
ご当地文学賞(地方自治体主催の文学賞)としては、全国に先駆けた存在として知られる。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 最愛の子ども  松浦 理英子
2018
 飛ぶ孔雀  山尾 悠子
2019
 ひよこ太陽  田中 慎弥
2020
 業平 小説伊勢物語  高樹 のぶ子
2021
 姉の島  村田 喜代子

 新井賞 


“推し” の一冊を楽しむ。
“カリスマ書店員”として知られる新井見枝香さんが、一人で勝手に”推したい”と思う本を選定し、芥川・直木賞と同じ日に発表する異色の文学賞。
本好きの心をくすぐる一冊と出会える、と人気を集めている。

受賞年
受賞作 受賞者
2018上
 ののはな通信  三浦 しをん
2019上
(未所蔵)ダルちゃん はるな 檸檬
 三つ編み  レティシア・コロンバニ
2019下
 ライオンのおやつ  小川 糸
2020上
 彼女たちの部屋  レティシア・コロンバニ
2020下
 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー  桜木 紫乃

 新書大賞 


“ジャンル特化” を楽しむ。
1年間に刊行されたすべての新書の中から、有識者、書店員、各社新書編集部(自社作品の投票は不可)、新聞記者らの投票をもとに、その年の「最高の一冊」を選出。「新書」というジャンルに特化した文学賞として注目される。

受賞年
受賞作 受賞者
2017
 言ってはいけない  橘 玲
2018
 バッタを倒しにアフリカへ(児童書版)  前野ウルド浩太郎
2019
 日本軍兵士  吉田 裕
2020
 独ソ戦  大木 毅
2021
 人新世の「資本論」  斎藤 幸平

野間文芸賞、ビジネス書大賞、このミステリーがすごい!、日本推理作家協会賞、中山義秀文学賞、島清恋愛文学賞も展示中。

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