コーナー8「東日本大震災から10年」

東日本大震災から10年

今年3月で東日本大震災から10年となります。
マグニチュード9.0の揺れ、太平洋沿岸部に押し寄せた巨大な津波、そして原子力発電所の事故―。
災害関連死を含めると19. 729名の方が亡くなり、そして今もなお2.529名の方の行方が分かっていません(令和2年3月10日現在)。

東日本大震災という未曾有の災害の記憶を繋ぎ、これからの防災に生かすため東日本大震災や防災についての本を集めました。
かけがえのない命を守るための一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。
10年目の現在を生きる私たちが「今できること」を一緒に考えてみませんか?

最後に、東日本大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

東日本大震災から10年
東日本大震災から10年
東日本大震災から10年

『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』 佐々涼子/著

東日本大震災で津波に襲われた宮城県石巻市の日本製紙石巻工場を舞台としたノンフィクション。出版社、そして本を待つ読者のために力を尽くした従業員たちの姿に胸が熱くなる一冊。

「みんな聞いてくれ。毎日瓦礫処理は大変だろうと思う。疲れてもくるだろう。でも、これだけは約束してほしい。決して課員の悪口を言うな。被災している人もたくさんいる。家族が亡くなっている者も、家が流された者もいる。それぞれ人によって事情があるんだから、誰かが出てこられなくても文句を言うなよ。それから、よその課はまだ工期に余裕がある。彼らの悪口も言うな。出てこられない人の分までカバーして、みんなでもう一度タービンを回そう。あの煙突にもう一度、白い蒸気を上げよう」


『虹の向こうの未希へ』 遠藤美恵子/著

急いで高台へ避難してください-。東日本大震災の時、南三陸町職員の遠藤未希さんは最後まで避難を呼びかけ続け、津波に飲み込まれてしまいました。母・美恵子さんの手記に詰まった思いに胸を打たれます。

呼びかけは何度も繰り返されています。すでに津波が押し寄せて、住宅をなぎ倒しているのに、冷静な口調で続けられていました。
「なぜまだ言っているの、早く逃げればいいのに」
そんな言葉が思わず口をついて出そうになります。でも、真面目で責任感の強い未希の性格を考えれば、それも当然かと思いました。きっと周りの人から強く言われなければ、その場を立ち去ったりできなかったのでしょう。
「未希さんはずっと避難を呼びかけ続けていたよ」
避難所で多くの人から、そう教えてもらいました。本当にそうだったんだ―。
それでもやはり、親とすれば未希に助かってほしかった。これが本心です。


『河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙』 河北新報社/著

東日本大震災に際して、地元紙・河北新報がいかに対応し、何をどう伝えたかを克明に記した一冊。自らも「被災者」でありながら、被災地と被災者に寄り添う新聞人たちの奮闘の日々が描かれています。

ヘリは石巻市上空に来た。整備士が「あそこに人がいます」と声を上げた。小学校の屋上に「SOS」の文字が見える。白紙を並べて文字を作ったのだろう。救出を待つ人々がヘリに向かって腕を振って大声で叫んでいた。周囲は浸水している。
手を差し伸べたいが、何もできない。無力感で折れそうな心を抱えながら、上空を旋回して写真を撮り続けた。
「ごめんなさいね、ごめんなさいね、ごめんなさいね……」
突然、隣席に座る中日のカメラマンがつぶやきはじめた。
「僕たちは撮ることしかできない。助けてあげられないんだ……」
彼は眼下の人々に詫びるように、何度も独り言をつぶやいた。門田も「そうだよな」とうなずいた。そう言わないとシャッターを切れなかった。


『子連れ防災BOOK 全災害対応!』 ママプラグ/著

1223人の被災者の体験談から、どのような避難や事前の備えが必要となるかをイラストともに紹介。自分の家ではどのような対策を立てればよいのか、防災のヒントがたくさん詰まっています。

人は、命に関わる問題をオブラートに包んで遠ざけてしまうか、完璧にしようとしてつらくなる、ということがあるように思います。
だからこそ、本当に必要な防災を身につけ、安心できる生活を手に入れてほしいのです。そう、本来、防災意識や備えは「いざという時のために、お金と時間をかけてしかたなくやるもの」ではなく、日常の中で安全性を高め「家族みんなが安心して笑顔で暮らすため」にあるべき。この本はそのためにつくりました。


『海は見えるか』 真山 仁/著

東日本大震災で被災した子どもたちと阪神淡路大震災で妻子を亡くした応援教員の日常を描いた作品。『そして、星の輝く夜がくる』の続編にあたる本作では、震災1年後の厳しい現実が描かれます。

「大丈夫や、大樹。夢や。大丈夫やぞ」
我に返った大樹を強く抱き締めて、小野寺は何度も大丈夫と繰り返した。
「おばあちゃんもお父さんもお母さんも洋子も、みんな津波に呑まれた。僕は見てるだけで何もしなかった。自分だけ逃げたんです。みんなが助からなかったのは僕のせいです。ごめんなさい、ごめんなさい」
「謝らんでええ。おまえのせいやない。おまえは頑張って逃げ切ったんや。おまえは悪くないんやぞ、大樹」
大樹が泣きじゃくっている。
嗚咽する大樹の背中をさすってやりながら、小野寺は何をすべきかを確信した。それが教師の、いや一人の大人の使命だと決心した。
逃げないー。それは俺のための言葉や。
夜明けを告げる鳥の声が聞こえた。


『つなみてんでんこ はしれ、上へ!』 指田和/文・伊藤秀男/著

岩手県釜石市の子どもたちが自ら考え、行動・避難し、津波から命を守った「釜石の奇跡」をもとにした絵本。津島市ゆかりの絵本作家・伊藤秀男さんの迫真の絵に是非ご注目下さい。

ドーン、ドシーン……
たてものが、波におされてぶつかっていく。
ミシミシ、ギー……
いえが、さけびごえをあげているみたいだった。
「死ぬかも……」
ぼくは、うまれてはじめておもった。
「ここにいちゃ、だめだ!」
だれかが、ぼくのせなかをドンとおした。
「じぶんのいのちは、じぶんでまもれー!」
そうだ、にげろ!
はしるんだ、上へ!
もっと上の、〝恋の峠〟へ!

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