コーナー9「豊臣兄弟!に迫る」

今年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公は、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長です。豊臣政権のナンバー2、秀吉の右腕……と聞いても、「じゃない方の人」のイメージが強いかもしれません。しかし、秀長はただのナンバー2ではありません。秀長が長生きしていれば豊臣政権はもっと長命だった……とも言われるほどの影響力を持つ人物です。

さて、今からもう40年以上も前、1985年に出版された堺屋太一さんの小説 『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』の「はじめに」はこんな書き出しからはじまります。

私が、「この人」に興味を憶えるようになったのは、いつの頃からか、今は思い出せない。
(中略)
私が「この人」に関心を持つようになった動機が、何であったかも、憶えていない。「この人」の肖像を見たとか、著作に接したとか、あるいは「この人」について書かれた書物を読んだというようなものではなかったことは確かだ。「この人」には、著書などないし、「この人」を主題にして書かれた書物も今もって見当たらない。
(中略)
私が、「この人」に関心を持つようになったのは、むしろ、この「語られなさ」のためだったように思う。

「この人」とはもちろん、豊臣秀長のことです。どうでしょう、なかなか興味が湧いてきたのではないでしょうか?

戦国時代に尾張国中村の貧しい農民の子に生まれた藤吉郎と小一郎の兄弟は、信じがたいほどのドラマチックな人生を歩み、やがて天下統一を成し遂げ、関白と大和大納言と称される兄弟へと昇り詰めます。
さぁ、「豊臣兄弟!」の人生に図書館の本で迫りましょう。

「豊臣兄弟!に迫る」コーナー

「豊臣兄弟!に迫る」コーナー全体

人物に迫る

2026年の大河ドラマは「豊臣兄弟!」。主人公は天下人・豊臣秀吉……ではなく、その弟の秀長です。
え、誰?……と、お思いの方に、まずは人物に迫る本をご紹介します。
豊臣政権のナンバー2として、兄・秀吉の天下統一を支え続けた豊臣秀長の魅力に迫ります。

仕事術から迫る

『図解豊臣秀長「No2」の仕事術』表紙

『図解豊臣秀長「No2」の仕事術』
中野 明/著 Gakken

兄・秀吉がひろげた大風呂敷を見事にたたみ、確かな形にする、そんな“魔法使い”として、豊臣秀長を高く評価する著者が、秀長の実務能力とビジネスセンスに注目し、その仕事術を図解でわかりやすく紹介する本です。墨俣一夜城、備中大返し、太閤検地、刀狩……人びとの記憶に残る秀吉の大仕事の陰には、「実行役」として泥臭く汗をかき、兄のために懸命に働く秀長の姿がありました。その姿と仕事術は、現代を生きる私たちにとってヒントとなるかも?

家族から迫る

『羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで 』表紙

豊臣秀吉は、戦国武将のなかでもトップクラスの人気と知名度を誇るにもかかわらず、父母やきょうだい、親類の実態については未だに謎が多い人物です。この本では、できるかぎり典拠史料を示しながら、現時点でもっとも妥当性が高いとみなされる秀吉の一族・親類の実像を解説します。著者は、大河ドラマ「豊臣兄弟!」では時代考証を担当。「豊臣兄弟」の真実に迫ります。

手紙から迫る

『秀吉の手紙を読む』
染谷 光廣/著 吉川弘文館

『秀吉の手紙を読む』表紙

豊臣秀吉の手紙24通を写真入りでわかりやすく紹介する本です。仮名文字が多く使われ、語りかけるような文体で書かれた手紙には、人と人との繋がりを大切にした秀吉の人柄も感じられます

『太閤記』から迫る

『太閤記解剖図鑑』
柴 裕之/監修 かみゆ歴史編集部/編著 エクスナレッジ

『太閤記解剖図鑑』表紙

豊臣秀吉の生涯を物語にした『太閤記』は、秀吉が信長の草履を懐に入れて温めた逸話などが盛り込まれ、江戸時代の大ベストセラー本となりました。現代の私たちが持つ秀吉のイメージにも大きな影響を与えた『太閤記』の虚実に迫る一冊です。

ビジュアルから迫る

『豊臣秀長 天下統一を成し遂げた兄弟の軌跡』表紙

尾張・中村の農民の子から、大和大納言へと駆け上がった豊臣秀長の軌跡をわかりやすく解説する本。全ページカラー、かつ30㎝の大型本なので、地図や絵などの史料がとても見やすく、入門書としてもオススメ。

小説で迫る

豊臣兄弟が登場する小説を集めました。併せて、小説に登場する名場面や名セリフもご紹介します。兄弟の“心の声”に迫りましょう。

『軍師秀長』(上)(下)
近衛 龍春/著 毎日新聞出版
『軍師秀長(下)』 表紙 『軍師秀長(下)』 表紙

家族や同僚、家臣に慕われ、兄・秀吉の天下取りを影から支えた秀長の生涯を描く長編小説。秀吉からの度重なる無理難題に苦心しながらも、献身的に支え続ける秀長の誠実な人柄にも触れることができる。

「儂が兄者を守りぬく。
邪魔する者は誰であれ容赦しない。
たとえ母ちゃんであってもじゃ。よいの」

『豊臣家の包丁人』
木下 昌輝/著 文藝春秋

『豊臣家の包丁人』表紙

豊臣秀吉が若い頃から料理人として仕えた、実在する包丁人・大角与左衛門を描く小説。秀吉の天下統一の裏にあった“心をつなぐ料理”とは?

「藤吉郎は確かに食えない男だ。が、それも味噌次第だろう」
「けど、俺じゃなくても」
「兄弟のお前以外に、誰が藤吉郎を料理する。知っているか、
こたび、藤吉郎は丹羽様と一緒に箕作城攻めを任されたぞ」
心臓が跳ねた。

『チーム豊臣! 』
楠木 誠一郎/作 酒井 以/絵 静山社

『チーム豊臣! 』表紙

秀長の人生を、兄・秀吉との関係性に焦点を当てて、秀長の視点から振り返る児童向け小説。兄に振り回される秀長の苦労がコミカルに描かれており、大人も楽しめるはず。

「小竹、わしの家臣になってくれ」
はぁ?
ひさしぶりに帰ってきたと思ったら、いったいなにを言い出すんだ。

『豊臣秀長 ある補佐役の生涯(上)(下)
堺屋 太一/著 PHP研究所

『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』(上)表紙 『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』(下)表紙

1980年代に出版され、「昭和のベストセラー」としても知られる、豊臣秀長を主人公とした歴史小説。秀吉のかげに小一郎秀長あり!……と人びとに言わしめたのは、秀長の持つ卓越した事務能力と抜群の調整力だった。名将、名参謀ではなく、日本史上屈指の補佐役として、兄・秀吉を補佐し、天下人としてゆるぎない地位を確立させた秀長の生涯を克明に描く作品。さて、兄のために生きた秀長は幸せだったのだろうか?

「小一郎、頼むぞ」
案の定、兄はそういった。この困難で危険な仕事を安心してまかせられるのは、やはりこの弟しかいなかったのである。

戦国に迫る

最後に、豊臣兄弟が生きた戦国時代に迫る本をご紹介しましょう。あなたの“戦国時代”をアップデートする一冊に巡り会えるかも?

合戦から迫る

『戦国の合戦と武将の絵事典』表紙

『戦国の合戦と武将の絵事典 見て楽しむ
高橋 伸幸/著 小和田 哲男/監修 成美堂出版

「戦国時代」といえば、信長・秀吉・家康が活躍した時代というイメージが強く、一括りにまとめてしまいがちですが、実際には約100年~150年にも及ぶ、長い時代でした。その間には、合戦や戦い方だけでなく、新兵器の出現で戦も城の形も大きく変化しました。この本は、戦国合戦の実像や変化を深掘りし、再現イラストとして掲載。合戦のリアルを体感できる一冊です。
謀略、政策、兵站、多角的に戦国の戦を紹介。

地図から迫る

『地図でスッと頭に入る豊臣一族の戦国時代』表紙

天下統一を目指して奔走した秀吉と秀長、2人の生涯の働きを地図や系図とともにわかりやすく紹介する本。兄弟の出生の謎や、各地での戦い方だけでなく、兄弟の家族や家臣、そしてライバルたちの動きにもスポットを当てているので、大河ドラマの予習にも役立つでしょう。

兄弟から迫る

『日本史のなかの兄弟たち 』
安藤 優一郎/著 中央公論新社

『日本史のなかの兄弟たち 』表紙

日本史において時代の節目をつくった兄弟関係に注目し、兄弟の存在が歴史上に果たした役割に迫ります。兄・秀吉の天下統一を支える賢弟・秀長の「豊臣兄弟」は、とても仲の良い兄弟でしたが、歴史を振り返れば、こんな兄弟ばかりではないようですね……。

おもてなしから迫る

『戦国おもてなし時代 信長・秀吉の接待術』表紙

秀吉は、「戦わずして勝つ」ことを重視し、合戦よりも接待(おもてなし)を用い、「人たらし」と呼ばれた武将としても知られています。この本では、信長・秀吉が権力を握った時代を「おもてなしの時代」ととらえて、様々な史料をもとに、この時代の「おもてなし」を詳しく解説します。

マイナー武将から迫る

『どんマイナー武将伝説』
長谷川 ヨシテル/著 柏書房

『どんマイナー武将伝説』表紙

大河ドラマの主役や歴史小説の主人公にはなれそうもない、「どん」と頭につく超マイナー武将たちにスポットを当てた一冊。北から南まで、総勢70人以上のマイナー武将が登場!超有名な武将の陰に隠れて目立たない武将や、地元では今も深く愛されるご当地武将など、幅広~く紹介しています。