コーナー9「追悼2025」

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「追悼2025」コーナー

早いもので2025年もあと1か月となりました。「さよなら」、そして「ありがとう」の気持ちを込めて、今年亡くなられた方々の本をご紹介します。
どうぞご覧下さい。

森永もりなが 卓郎たくろうさん(経済アナリスト) 1月28日逝去

1957年、東京都生まれ。東京大学卒業後、1980年に日本専売公社(現JT)に入り、経済企画庁(現内閣府)出向などを経て、経済アナリストとしてコメンテーターや著述業、講演などで活躍。わかりやすい経済解説で人気を集め、“モリタク”の通称で親しまれた。
2003年の著書で年収300万円時代の到来を予測。国の政策に対し、「所得格差が広がり、新たな階級が生まれる」と警鐘を鳴らした。ミニカーなどのコレクターとしても知られ、お金では買えない喜びや生きがいを大切にするライフスタイルを発信。2023年に、がんであることを公表してからも精力的に活動を続けていた。

人によって違うかもしれないが、私にとって幸福な人生とは、自由に生きることのできる人生だと思う。

『森永卓郎流「生き抜く技術」』より

上田うえだ 秀人ひでとさん(作家) 3月27日逝去

『孤闘 立花宗茂』表紙

『孤闘 立花宗茂』 上田 秀人/著 中央公論新社

1959年、大阪府生まれ。歯科医のかたわら、時代小説の執筆をつづけ、2001年にデビュー。10年に『孤闘 立花宗茂で中山義秀賞を受賞。13年からは専業作家となり、22年に吉原英治文庫賞を受けた。著作は200冊を超え、他の作品に「高家表裏譚」シリーズなどがある。

お読みくださった方のもとへ少しでも戦国の香りが届きますようにと願うばかりです。

『孤闘 立花宗茂あとがきより

長嶋ながしま 茂雄しげおさん(プロ野球選手・監督) 6月3日逝去

1936年、千葉県生まれ。佐倉一高から立教大学に進み、東京六大学のスター選手として活躍。1958年に巨人に入団すると、大舞台での勝負強いバッティングと華麗な守備でファンを魅了し、“ミスタープロ野球”の愛称で親しまれた。王貞治さんとの“ON”コンビで一時代を築き、首位打者6回、ホームラン王2回、打点王5回と多くのタイトルを獲得し、最優秀選手にも5度選ばれた。1974年の引退セレモニーでは「わが巨人軍は永遠に不滅です」の名文句を残した。引退後は巨人の監督を2期、通算15年つとめ、リーグ優勝5回、日本一2回を果たす。
2004年に脳梗塞で倒れたものの、リハビリに励み、公的な活動を拡大。野球の現場にもしばしば足を運び、野球界の発展を支え続けた。

勝負というのは、宮本武蔵の『五輪書』にも書いてありますけど、命あるか、死ぬかという、ふたつにひとつしかないんです。打つか打たれるか、切るか切られるか、勝つか負けるか、それしかない。

『長嶋茂雄不滅の勇姿。』より

吉行よしゆき 和子かずこさん(女優) 9月2日逝去

1935年、東京都生まれ。父エイスケ、兄淳之介、妹理恵は作家。母あぐりは日本初の美容師。劇団民藝に学び、1957年「アンネの日記」で主演デビュー。舞台演劇から、映画、テレビと活躍の場を広げ、人気ドラマにも多数出演したほか、エッセイの名手としても知られる。

一貫性のないまま、ずいぶんたくさん芝居をしてきた。私としては、しかし確固とした一貫性はある。「なんか面白そう」というのが、動かぬ決め手だ。それでずっとやってきた。

『ひとり語り 女優というものはより

『ひとり語り 女優というものは』表紙

『ひとり語り 女優というものは』 吉行和子/著 文藝春秋

曾野その 綾子あやこさん(作家) 2月28日逝去

1931年、東京都生まれ。幼稚園から一貫したカトリック教育を受け、17歳で洗礼を受けた。大学時代から同人誌「新思潮」に加わり、1953年に同人の三浦朱門さんと結婚。長男をモデルにした青春小説『太郎物語』や妊娠中絶をテーマとした『神の汚れた手』などの小説を通して、宗教的な問いや社会問題を追及した。エッセイの人気も高く、『誰のために愛するか』はミリオンセラーに。2010年の『老いの才覚』や、13年の『人間にとって成熟とは何か』などで、高齢化社会での生き方を描いた。

しかし、こと心の満足となると話は違う。私たちがほんとうに満たされるのは、受ける時ではなくて、与える時なのである。受ける時は、私たちは受けるものの量に左右され、少しでも少なければ、直ぐ不満を感じる。しかし、与える時には、私たちは恥ずかしいほど少し与えても、心は満たされる。この効果はまことに不思議である。

『今日も、私は生きている。』より

『今日も、私は生きている。』表紙

『今日も、私は生きている。』  曽野 綾子/著 ポプラ社

枝元えだもと なほみさん(料理研究家) 2月27日逝去

1955年、神奈川県生まれ。劇団に所属しながら無国籍レストランで働き、その後料理の道へ。自由な発想での家庭料理を得意とし、テレビや雑誌で活躍。“エダモン”の愛称で親しまれ、朗らかな人柄も人気を集めた。
社会問題に関する活動にも熱心に取り組み、ホームレス・貧困問題の解決を目指すNPO法人ビッグイシュー基金の共同代表や、農業支援活動をする「チームむかご」の代表も務めた。

「食べて生きていく」という人の営みのおおもとをおおらかに肯定しながら、子どもたちに残すべき地球の未来を守っていきたい。
できることはきっとたくさんある。そんな風に思えるようになりました。

『捨てない未来』より

  • 和田 登さん(児童文学作家)
    2月4日逝去
  • 岩崎 京子さん(児童文学作家)
    7月10日逝去
  • 紀田 順一郎さん(文芸評論家・作家)
    7月15日逝去
  • 成田 真由美さん(パラ水泳選手)
    9月5日逝去
  • 李 恢成さん(作家)
    1月5日逝去
  • 橋 幸夫さん(歌手)
    9月4日逝去
  • 篠田 正浩さん(映画監督)
    3月25日逝去
  • 中澤 日菜子さん(作家)
    3月23日逝去
  • 田中 雅美さん(作家)
    3月18日逝去
  • 岩崎 京子さん(児童文学作家)
    7月10日逝去
  • 西澤 保彦さん(作家)
    11月9日逝去
  • 釜本 邦茂さん(サッカー選手・監督)
    8月10日逝去
  • ジェームス三木さん(脚本家)
    6月14日逝去
  • 村山 富市さん(元内閣総理大臣)
    10月17日逝去
  • 畠山 重篤さん(カキ養殖漁師・エッセイスト)
    4月3日逝去
  • 立原 えりかさん(童話作家)
    7月1日逝去
  • 教皇フランシスコ(ローマ教皇)
    4月21日逝去
  • 大宮 エリーさん(画家・作家)
    4月23日逝去
  • フレデリック・フォーサイス(作家)
    6月9日逝去
  • おぼ まことさん(絵本作家)
    8月23日逝去
  • 和泉 雅子さん(女優・冒険家)
    7月9日逝去
  • ホセ・ムヒカ(元ウルグアイ大統領)
    5月13日逝去
  • 和久田 正明さん(作家・脚本家)
    4月24日逝去
  • 矢野 誠一さん(演劇・演芸評論家)
    7月23日逝去
  • 仲代 達矢さん(俳優)
    11月8日逝去
  • 嵐山 光三郎さん(作家)
    11月14日逝去